いの二番

(七右衛門のナレーション)
 この地が、まだ松江と呼ばれる前の戦国時代。東に尼子、西に毛利といった大大名。その狭間にあるイム部の郡で特定の領主に服することなく、自治を行い、栄えている郷があった。この物語はこの地の自治と繁栄を影で支えた七人の女の物語である。
 
 タイトル:いの二番「天狗あらわる-2」
 
(小屋の中で)
末次の奥、原田の丘に、出たんだよ。
天狗が。
赤ら顔の大天狗と、子天狗の二人も。
腹が減ったのか、末次のほうまで降りてきて、
「ふしぎ」を見せて、
(実際、子天狗=美怪が手品をやっている様子)
お代の代わりに恵んでもらってる。
それを聞きつけた、
揖屋の東出雲守修理の一党が、子天狗つかまえにきて、
散々翻弄されたってよ。
(その翻弄された様子)
フリップ的な天狗の絵を見せながら。
 
その前を、墓堀人夫たちがぞろぞろと。
 人夫A:姐さん、天狗が出たって本当でしょうかねぇ?
畝切:ああ、あたしもちょいちょい聞いてるよ。慈雲和尚は、また、ご苦労なことだが、見に行ったとか、ね。
人夫B:で、どうだったって?
畝切:饅頭屋やら餅屋やら、物売りと野次馬で見えなかったんだとさ。天狗も怖がって出てきやしないよ。
 
(七右衛門のナレーション)
こちらは、墓堀人夫の一団、戦があると、死人が出る。死人が出れば彼らのでばん。手回しよく、合戦場にかけつけ、掘り出し物を習得の上、埋葬を請け負い、銭をもうける。仕事柄、寺と関係も深い。姐さんと呼ばれているのが、この畝切組の当代棟梁、畝切の姐さん。親から引き継いだ組を女だてらに、切り盛りする。人夫たちも、この姐さんによくなついている。
 
 畝切:井之中修理がでばって、小競り合いでもあれば、また、うちらの儲けにでもなるがね。
 
(七右衛門のナレーション)
何度か出て生きている「修理」。井之中東出雲守修理、という、どこぞからの流れ者だが、あっという間に、尼子の牢人衆を吸収し、今や、中の海沿岸の一大勢力。ここイム部の郷とは、中の海の交通件を巡り、利害が対立している。
 なぜか、目と鼻の先にいる尼子のお殿様は、修理たちには手を触れず。
 
 
 次回(第 話)予告
 
 
エンディングテーマ(誰が為に)よもぎ版。 
 
CMあけ。
 
 
葱注:
 このお話は歴史上の話を参考にした、あくまでフィクションであり、一部歴史的事実と違う内容や、歴史的にはっきりしていない内容が含まれます。
 
 
ご覧の風景は
 
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