第二幕 走る、木鼠 山

 

(CM)  

メガネの高井のメガネはよーく見える!

あれ? パパの後ろに、白い着物の女の人がいるよ。

うしみつどき、です。

時報

 

 

オープニング

字幕「歴史とは、時の権力者の都合のよいように書かれる」  
 
 
(七右衛門のナレーション)
 この地が、まだ松江と呼ばれる前の戦国時代。東に尼子、西に毛利といった大大名。その狭間にあるイム部の郡で特定の領主に服することなく、自治を行い、栄えている郷があった。この物語はこの地の自治と繁栄を影で支えた七人の女の物語である。
 
桜娘ーよもぎ
桜娘 曲のみ
 (提供)
 
さらに続けてしちえもんで、主要人物紹介
(途中で「え?まだ3人しかでてないって?あわてなさんなって。急いては事を果報は寝て待てってね」などとけむに巻く)
主要登場人物紹介が終わると、
しちえもんで「それでは開幕までしばしこちらでお楽しみを」
と曲終わりまで。
登場人物
 
鈴木貴粋(すずき・きすい:スズキ)(顔をかくすこと。話のシーンは常に影、殺陣のシーンは覆面)
 兵法・剣術師範。家をつぐはずだった兄が厳しかった父に反発し出奔してしまい、仕方なく道場を継いでいる。父の頃からの門下生、鴨井とはお互いに思いあっているが恋仲には至らぬ仲。常に病床に臥せっている。
天鷺屋おほり(あまさぎや・おほり:アマサギ)=***  旅籠「天鷺屋」女将。各地からの旅人からの情報を握る。また、各地との取引があり、南蛮の新兵器、鉄砲の扱いにも慣れている。スナイパー。
 珠洲美怪(すず・みくゎい:シジミ)  めてんぐとも言われる妖怪。実は捨て子を山に隠れていたバテレンのジョナサンが育てた。妖術を使う。
  
岸右京慎(きし・うきょうのしん)
耳弓槍(はずやり)の使い手ということだけ分かっている、るろう人。 天鷺屋に長逗留中。
 
 
屋敷の全景。
しちナレ;井之江修理の屋敷は、無句呂山という山のふもとにあり、周囲に川を利用した堀と塀をめぐらし、その広さから要塞のようだとも言われる。その一画には地下牢もあって…
 
 
その牢屋の前で
修理:拙者が言うのもなんじゃが、おぬしも阿呆ようのー。褒美はとらすと言うておるに。変な意地をはるもんじゃから、こうやって、ぼこぼこにされて、こんなとこに放り込まれるのよ。さあ、あやま様には、何を贈ろうかの。
(と言いながら去っていく)
今まで口を開かなかった縄泥。口の中から、石ころを吐き出す(回想、フラッシュバック、捕まる寸前に、地面に押さえつけられた時に、石を咥え、そのあとずっと口の中で削っていた)。それは、見ようによっては、鼠のようにも見える小石。それが、地面を転がり、牢屋の隙間を抜け出たとたん、本物の鼠のように、いずこかへと走りさる。縄泥にやりと笑い、
縄泥:ねずみ、まちがいなく慈雲和尚のとこへ行けよ。
とつぶやき、眠る(或いは気を失う)
 
美怪に、掃除の指導をする慈雲和尚。そこへ畝桐の姐さんがやってきて
畝:和尚! そいつ使いものになるかい?
和尚:ああ、父親のほうは、日ノ本の言葉を解さぬようじゃったが、この娘は、多少不慣れだが、使える。少なくとも、こっちの言うことは分かっておるようじゃ。
畝(美怪に向かって)あんた、名前はなんてんだい?
美怪:…
和尚:ないらしい。天狗の子としか。みくわい、とか呼ばれていたらしいが、それも、船宿の者の話では、何番の言葉で娘を意味するとか。まあ、仕方がないので、預けている珠洲家の苗字と、そのみくわいで珠洲美怪と名乗らせようかと。
畝:みくわい。いい響きだね。
みくわいの手元に小さなネズミが走り寄り、その場で石となり、ころっと倒れる。
 
畝:和尚、相変わらずのボロ寺だね。ネズミが我が物顔に走り回ってやがる。
慈雲:なんの、これは、石ころじゃ。
畝:でも走ってきたよ。なあ、みくわい。
頷くみくわい
慈雲:何ですと?
と、みくわいが差し出した石(ネズミ)を手に取り眺める。
慈雲:これは…縄泥のネズミの彫り物とよく似て居るが…
畝:あ、それで思い出した。高田縄泥を、白昼堂々、修理のやつらが、さらっていったとかいう話だぜ。
慈雲:なんと!
美怪:ねずみ、屋敷の地下牢から来た。屋敷に、たくさん人、つかまっている。
慈雲と畝の声が重なり
慈雲:みくわい、石の心が読めるのか?
畝:みくわい、ねずみの心が読めるのか?
美怪:少し。
美怪の脳裏に、つながれた人々や縄泥がいたぶられた様子が映っている。
畝:他に、何つってる?
美怪:(言葉が)分からない。
和尚:いや、縄泥が修理の屋敷に捕まっていることが分かっただけでも。助け出せねばの。月山の殿にも、重用されていた者だけに。
畝:どうせ、天鷺屋と組んで、売りさばこうって魂胆だろう。
和尚:とっくに持っていけばいくほど、値が高く…いや、縄泥の作は天下無双。それが修理なんぞにいいように使われては、ならぬ。ならぬことはならぬのじゃ。
ヨ子、イッチョ、救い出してはくれんかの。これも手間賃、はずむぞ。
畝:あいよ、けども、あたしらだけで、どうにかなるかねぇ。軽業師に頼んだほうが、いいんじゃないのかい?
 
 
エンディングテーマ(誰が為に)よもぎ版。 
 
CMあけ。
 
 
葱注:
 このお話は歴史上の話を参考にした、あくまでフィクションであり、一部歴史的事実と違う内容や、歴史的にはっきりしていない内容が含まれます。
 
 
ご覧の風景は
 
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にてお届け仕りました。